ずっとお城で暮らしてる

これブックオフで105円でした。

はっきりしないイヤらしい世界の中で頭のおかしい人間を描かせたら右に出るものはいないんじゃないかと思わせるくらいえげつない話を書くシャーリィ・ジャクスンです。と言ったって僕が読んだのは復刊された『くじ』だけですが、いやはや、ホントにえげつないお話で、今年のこのミス一位をとったデルモンテ(おめでとう。オレ、あんたのこと、大好きだ)が好きな人にはぜひともお薦めしたい作家です。

この本、無論シャーリィ・ジャクスンだから購入したのですが、解説があの(あの!)稲生平太郎でして、彼に全幅の信頼をおくアタクシと致しましては105円で買えたのは今年一年延々とウダツがアガらなかったその返礼がいまさら届いたのかと、あるいはもしや来年分の幸運まで使い果たしたのかと思うくらい嬉しい限りです(でも、頼むから明日の分だけは残しておいておくれ)。しかもその稲生平太郎をして「くじ」が、ジャクスンの全作品のなかで依然として最も有名で広く読まれているのは疑いないけれど、しかし、彼女の本領が発揮されているとはいいがたいと言わしめるモダン・ゴシックの女王の最高傑作だそうですよ奥さん! くぅぅ、たまらん。

どんな内容かと言うと、客観的には悲惨な境遇にありながらも、彼女(主人公の少女メリキャット)ははじめから幸福なのであり、殺人、狂気、暴力に彩られた物語は、実際、奇妙なまでの明るさを湛えているらしいです。あぁ、こういう天然系恐怖小説、大好き……。

追記:

かつて早川から刊行されていた『山荘綺談』は『たたり』とタイトルを変えて東京創元から復刊されているそうです。だから創元って大好き! これからも頑張ってねっ! コナン、いまは買ってないけど、きっといつか買うからさっ! それまで品切れにしないでねっ!