独白するユニバーサル横メルカトル

『こ*ミス』(←祟。以下略)で1位をとったとのことで、もしかして大化けしたのかと思っていたら、いつものデルモンテでした。まぁ、これ以上化けられたらきっと発禁処分食らうでしょう。

やはり、上で書いたことの繰り返しになりますが、デルモンテの文体はこちらの生活を脅かす方向を指示しているほうがより効果的ですね。<ありえないもの>を描くよりも、<ありふれたもの>の皮を一枚ズルリと剥いたその中身をネチネチと書き連ねるほうが、僕は好みです。まぁ、これは僕の好みの問題なのでさておくとして。

余所見をせずにスプラッタグロホラーの剛速球を投げ続けるそのスタイルに感服しました。力のない人は、ホラーを書きながら「家族愛がっ!」「男女の色恋がっ!」をやりたがるものですが、嫌悪感を徹頭徹尾描ききるその思い切りの良さには心底惚れます。とはいえ、多少のバリエーションも注目するべきで、『すまじき熱帯』なんかはかつての筒井<大暴れ>康隆を感じさせる荒唐無稽な話で、ケラケラ笑いながら読みました。

ダラダラ続けるのもアレなのでまとめ。

つまらない短編もあったけど、デルモンテ好きなら読むべき本。『この*ス』1位だからって期待すると、思わぬところで肩透かしを食らいます。以上。