狼と香辛料

読みました。

「テーマは経済!」ってほど経済してるわけじゃなくて、金勘定にまつわる商人同士の手の読みあい(をライトにしたもの。読みあうほど手はなくて、実はスピード勝負)が軸。ライトノベルの悪い症状たる「まずキャラクタ、次にストーリーありき」がやっぱりここにも影を落としていて、シチュエーションの説明がとにかくクドい。『多重心世界なんたらかんたら』の時も思ったけど、説明しない勇気も必要なんです。佐藤亜紀『天使』を御覧なさい。少し立ち止まってでも考えてみるべきです。ま、佐藤亜紀ラノベを比較することなんざ無謀にもほどがありますがね、しかし「鴉と書き物机」ってわけじゃないしさ。

閑話休題。話を進めるための肝(貨幣にまつわるウニュニュ)を必死に隠しながら展開するのでどれほど壮大な計画かと期待していたらそれはあまり本質じゃなかったみたいで、だったら一人称らしくさっさとバラしてもっと別のところにリソースを振り分けたほうがいいんじゃないかな、とか。そんな中途半端なハッピーエンドいらんよ、鉄塔じゃないんだからさ、とか。狼が鍵括弧で吼えるのはやめてくんないかなぁ、とか。えっと、文句言ってばっかりなので、どっか褒めようかな。えーっと、うん。

ともかく、どうやら僕はライトノベルに対する姿勢をいろいろ間違っているらしいですよ。とはいえその間違った姿勢を正す必要なんかこれっぽっちもないので、これからも傍目八目でラノベと付き合うつもりです。傍目八目、ホントいい言葉だよまったく。