天涯の砦(2006.08.24)

これ

地球と月を中継する軌道ステーションは、いずれ小川一水がすごいものを作ってくれるだろうと思い続けていたガジェット。虚空へと吹き飛ばされた残骸と月往還船〈わかたけ〉からなる構造体が、真空に晒された無数の死体とともに漂流するのは、僕が秋山完から感じ取る冷たい空気。そして敵は真空。このあらすじだけでも熱いッス。

読みました。ブラボー。

舞台となる建造物も素晴らしいし、トリガーとなる事件の原因も素晴らしいし、立ち向かう人間の知性も素晴らしい。エンジニアな描写と群像劇の描写を微妙なところで抑えつつうまくコントロールしていると思いました。「エンジニアな描写」でもっともっとおなかいっぱいになりたかったという欲はありますが、物語の華麗な着地に素直に敬意を表します。素晴らしい仕事です。実は「無重力ファイト」に萌え萌え、もとい、燃え燃え。

で、くだんのボーナストラックですが、これがまた素晴らしい。詳しいことを言うとネタバレになってしまうのでやめておきますが、なるほど、そういう<離散>ねぇ。