ラギッド・ガール 廃園の天使 2(2006.10.20)

ここの中ほどに掲載されています。

〈ハヤカワSFシリーズ Jコレクション〉仮想リゾート〈数値海岸〉を生んだ?献薀とのこと。叙述トリックか何かでしょうか。

SFマガジンに掲載された『ラギッド・ガール』を読んだときは、そりゃあ大変でした。一日中鳥肌が収まらないし、次の日も思い出しては「あぁ積分がっ!」などと恍惚としたり。

日本人で、飛浩隆のように<高精度で感覚を操る>文章を扱える人ってなかなか思いつきません。(……と15秒ほど考えて)思いついたのは北村薫(『紙魚家崩壊』がマジですげぇっ!)、皆川博子(長編だと『冬の旅人』、短編はダントツで『結ぶ』っ!)、服部まゆみ(『シメール』がっ!)、津原泰水(なにを差し置いても『水牛群』だろっ!)ぐらいかな。海外だといちいち挙げるのも恥ずかしいくらいのビッグネーム(『魔術師』っ! 『ナイチンゲールは夜に歌う』っ! って、いちいちエクスクラメーションつけるのはどうかとお思いでしょうが、だって仕方ないじゃないっ!)をいくつか思い出すのですが、つまり母集団に比べて格段に少ないということだけは確か。この人たちの本は、ときどき本棚から引っ張り出しては適当にページを開いて目に付いた文章を読みます。「ほぅ」だなんて言って満たされた気分になれるのです。読書ってシアワセだにゃあ。

さて、いつもながらに話題を広げすぎて結びに困っているわけですが、そんなときは昔話でも。

中学生の時、あたくし、吹奏楽部に在籍していまして、毎年コンクールに出場していたのです。1〜2年目ともに高評価で「うーん、うちの学校、わりと最強かも」と思っていたのですが、3年目のときコンクールで努力賞(つまり参加できただけでもありがたいと思え賞)になってしまったのです。すげぇ悔しくて涙が止まらなかったのですが、後日学校宛に郵送された総評を見てると「どこどこの音がズレている」「あんな弾き方は邪道だ」「なぜもっとメジャ(長調の、じゃなくてね)な曲を演奏しなかったのか」と書かれていてビックリしました。つまり審査員は、「マイナ(短調の、じゃなくてね)な曲」だったせいで、「特殊な演奏法」も、「不協和音」でさえも、理解できていなかったのです。

まぁ、だからなにってわけじゃありませんが、作品を語るときは命かけろよ、ってことでひとつ。

追記:

紹介文が〈ハヤカワSFシリーズ Jコレクション〉仮想リゾート〈数値海岸〉を生んだ「ラギッド・ガール」とは? 〈夏の区界〉を蹂躙した「蜘蛛の王」ランゴーニはいかにして誕生したのか?――数多の謎を明らかにする五篇収録のシリーズ第二章。となってました。舌触りの良い言葉が盛りだくさん。

追記:

発売日が20日に延期されました。