緋色の迷宮(2006.09.05)

これ

15歳の息子に少女誘拐の嫌疑がかけられるってだけでもイヤらしさ炸裂なのにその父親はどんな煉獄に投げ込まれるのかを書くと言うんですから、そりゃあもうあまりの痛さに耐えかねて身悶え必至なことでしょう。追い討ちをかけるように心許ない信頼と、息子が実はどんな人間なのか全く理解していなかったという恐怖息子だけでなく、妻、父、兄――身近な人間にも隠された秘密を探ると言うのですから、精神不安定な状態で読むのは危険でしょうよ。

クックが常に渾身なのは重々承知なわけで、しかしこのあらすじはキテるなぁ(帯の文句がまた秀逸なこと!)。新刊が出ることをあと1日早く知ってたら、あたくし、『カクレカラクリ』なんか買わなかったのに。

ジクジクと痛むミステリと言えばクックのほかにもミネット・ウォルターズの名前を思い出しますが、あの屈指の厭名作『蛇の形』以来とんとご無沙汰です。こちらのサイトによるとあちらでは順調に刊行されているようで、ほらもう蛇から2年経ったわけだから、そろそろあのジクジクを味わいたいです。