貴志祐介『新世界より』

んー。んー。

薄気味悪い社会システムがあって鼻持ちならない大人が支配していて外にはキモいクリーチャどもがウヨウヨしていて。どの構成要素ひとつとっても面白さ抜群なのに、そいつらが収まるべきところに収まるとなんでこんなに楽しくない小説になるのかがほんと不思議で不思議で。上巻の前半を読んだときに感じた「アイデアノートのネタを時系列順に箇条書きにされてもなぁ」ってのが結局最後まで延々続いてて、ネタとしてオッケイだけど小説としてダメダメってやつ。いろんなものを犠牲にしてまで手記という構成を取るべきだった理由がいまいち理解できん。そんな拒否反応のまっただ中であのラストの太字の一文読まされても「そりゃあんた、作家のいいわけとしては最低だよ」としか思えなんだ。つまり、なんだ。コンディションは抜群だが跳躍力が圧倒的に足りてないんだと思う。

もしかしたら「全部嘘ぴょーん」という大仕掛けだったのかな。ほかのなにか衝撃的な罠があったのかな。それとも「驕るなクソ人類!」っていう警鐘が鳴らされてたのかな(いや、それはネタとしてご勘弁だな)。いずれにしてもその手の奸計に僕は気がつくことができなかったわけで、つまり僕、負け組? 日本SF大賞取った作品を楽しめなかっただけで十分負け組だなぁ。。

追記

「ハリポタみたい」は侮辱としても十分に機能する言葉なので、褒めたいときは使わない方がいいと思います。(それとも、最初から罵倒のつもりだったりして?)