本多孝好『正義のミカタ』

そりゃあタイトル見た瞬間にいやな予感はあったけど、新年一発目からこれは強烈な……。背中捩って身悶えしながら読みました。感情移入ゼロ共感ゼロ爽快感ゼロモヤモヤ充填率230%。久々に読んだ本多孝好は、やはりあの本多孝好でした。

『MOMENT』以来なので、なんと6年ぶり。あのころは「サバイバルナイフで切り刻む乙一ブラックジャックで殴りつける本多孝好」ってくらい双方の似て非なる厭味(イヤアジ、と読んでくださいな)が大好きでした。ここしばらく乙一本多孝好からも遠ざかっていたけど、友人の「マジで正義の味方なんだよ」という一言でピコーンでした。あはぁ。

昔からその気があった「あなたの正義と私の正義、なぜか不思議なことに噛み合わないし折衷もできないし、じゃあどっちがより正義?」を、今回は一番汚いところで書いてくれました。すごいすごい。最初のほうで「まず状況を確認し証拠を集めて論理的に判断し、しかるが後に正義を執行する」みたいな文章があって、あぁこりゃあガチだと。これが、いま一番認知されている形での正義でしょう? その正義の薄気味悪さをああいうところに持ってきたってのがポイント。例えるなら「武装錬金の双子姉弟だって正義だったよね?」ってぇ話だ。

で、この帯(「大丈夫、君も明日をかえられる」ってやつ)を考えたのは誰? どんな悪意?