スティーグ・ラーソン『ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女』

文章がいつでもどこでも均質でノリもハリもないのがとにかく不満。一言でいえば「味がない」。「それは翻訳者のせい」とか「そも翻訳だから」とか「スウェーデン人は合理的だから(知らないけど)」とかいろいろ考えたけど、目の前に出されたモノがこれなわけだからそんなこと考えるのは意味ないよね。「その分、ストーリーとガジェットに目が行くじゃあないですか」っていったって、ミステリの諸要素をこれでもかぁって詰め込まれても僕はミステリファンじゃないので<ミステリ的なもの>に「萌え〜」とは言えないし、スウェーデンの経済を盛り込むっつったって特になにがどうというわけじゃなくて「悪いことして金儲けしている男がいるんですよー」「なぁにぃ、やっちまったなぁ」ってノリだし、ヒロインがツンデレは、別にもうどうでもいいよ。

まあまあ面白かったですよ。イベントのとっ散らかり具合はさすがに上下巻らしいとっ散らかり方だったので。残念なのは、その設計が<プロット>っていうほど御大層なものじゃなくて、すでに書いた青写真を上から単純にトレースしているようにしか見えないところかな(「なぞらんでいいから家建てろよ!家!」)。たくさんの荷物を抱えてドッコイショとでんぐり返しを成功させたことについては、そりゃあ「よくこんなにたくさん持ったまま回れたね。すごいすごい」と褒めたいけど、別に僕はでんぐり返しが見たいんじゃなくて、側方屈身2回宙返り3/4ひねりとかを見たいんだよね。

あるいは「僕が不感症」っていうことかもしれないけど。