ミカエル・ハフストローム『1408号室』

「焦らす」「驚かす」「イヤな気分にさせる」というホラー映画の基本要素を忠実に効果的に利用している、とても素敵な作品でした。特に「焦らす」のネチネチ具合が堪らんかったのです。無意味にドアップな鍵穴映像とか、無意味に右側の空間が開いている構図とか、無意味に魚眼レンズとか、無意味に明るいとか白いとか、何気なくカメラに納まっているだけの電源の入っていないテレビとか窓に反射する映像とか、そういうどうでもいいところにいろんな怖さを付与していく手際が心地よすぎる。あるところではテンポを外して「ディレイなドッキリ」をやってみたり「そーだったらヤだよねぇ」を忠実に実行してくれる安定感(?)が、僕の心をチクチクしていくのです。『TATARI』や『蝋人形の館』以来、久々の「きれいにハマるホラー」だったかも。あと、あのラストはなかなかにいい感じ。後味の悪さとそのシチュエーションを前にした彼らのそれぞれの思惑を妄想したときのモニョモニョ感がミョーな感覚を残してる。