ウィリアム・フリードキン『BUG』

とてもとても楽しませていただきました。

暴力夫から逃れて田舎町のバーで働いている女性が、友人の紹介で知り合った男性と付き合い始めるんだけど、その男性が言うところによると、自分は軍とCIAとFBIと警察と病院に追われている、とのことらしいのです。なぜかというと湾岸戦争で行なった政府主導の人体実験から逃げたからなのです。政府とアメリカ北部の富裕層は第2次大戦直後あたりからアメリカ国民を洗脳するための計画を練っていて、実は1982年ごろから新生児にチップを埋め込んでいるのです。そのチップによって人々は政府からの信号を受信することができ、FBI本部ビルを爆破させたりするようになるのです。しかし新生児にいちいちチップを埋め込むのも大変なので最近になって自走式のモジュールが開発されたのです。ちっちゃい虫です。虫はオスとメスがいて、オスが寄生している人とメスが寄生している人が乳繰りあうことにより繁殖します。感染しているかどうかは、皮膚に爪で引っ掻いた傷があるかどうかで判別できます。虫は感染している人にはよく見えます。だから、感染している人は自分の体を引っ掻くのですね。おぉ怖い。その虫に感染すると洗脳されるらしいんだけど、主要人物の男性と女性は洗脳されることなく、日夜虫の観察および撃退方法の開発にいそしみます。虫は電波を発するので部屋中をアルミホイルで保護します。虫はちっちゃいので顕微鏡で観察します。でも、そんなにちっちゃいわけでもないので、子供のオモチャ顕微鏡で十分確認できます。虫の卵嚢は歯の中にあると思われたので歯を抜いてみたけど、やっぱり別のところにあったようです。好物は血だそうです。ところで政府は、その男性が洗脳されているされていないはともかくとしてその男性を回収したいそうなので、医者を名乗るロボットを派遣したり(ロボットなので滅多刺ししても大丈夫)、毒入りピザを届けたり(毒入りだってことは顕微鏡でわかるので大丈夫)、まぁともかくいろいろやるのです。女性は「I am SUPER MOTHER BUG!!」とかいいながら男性に抱きついて、男性は灯油をまき散らして、つまりあれです。政府が虫をまき散らしたいんだったらその虫の根元を断てばいいってことで火を放つわけです。盛大に燃えました。

すべての現象をつなぎ合わせて<真実>を突き止めるくだりはまさに僕好み。不可解な出来事が次第にクリアになっていき、その結論(「I am SUPER MOTHER BUG!!」ね)に到達する頃には顎と頬の筋肉が痙攣しすぎて煙草も吸えなくなってしまいました。20分くらい腹筋が硬直してたので、いま横になって伸ばしたら痛いのなんの。バグ・エクササイズ、流行りませんかねぇ。映画を見るだけで小顔とくびれをゲット!だなんて、まさに夢のエクササイズじゃあないですか。

ところで前半と後半に一回ずつ全裸で登場するこの男性ですが、モザイクが不必要なサイズでした。