磯光雄『電脳コイル』1巻+2巻

これこれ

そも『電脳コイル』を観てなんにも思わない人間とは死んでも付き合いたくないしむしろ(自主規制)と思っているので、「通常版でいいかな」とか考えた自分を激しく罵りながら限定版を買ってきた次第。磯光雄の自宅(あるいはスタジオ)に赴いて土下座して「俺、お前のことが大好きだ」とか言えないならば、せめてこういう形でリスペクトを送るのが礼儀ってものだと思います。PC内に保存してますが、そういう問題じゃない。

実は首長竜の話でスッカリ観るのを中断していましたが、先日まとめて観たところ、17話から超絶的な盛り上がりを見せてくれたわけで、あたくし、笑いながら涙を流しておりました。あまりに凄すぎるものを見せられたとき、人間はもう笑うしかないんだね。サッチーが素晴らしい(顔がニュニュニュってね)。「黒い訪問者」の思い切った演出が素晴らしい(音がっ!)。黒のオートマトンが素晴らしい(組体操がっ!)。どこで切り取っても文句なし。SF的にも、ブレイクスルーに到達したサイバーパンクとして最高の実作品だと思います。サイバーパンクって言葉で褒めることすら泥臭くなりそうなほど、サイバーパンクが作品にカッチリと根付いているわけで、そんなの観せられてSF者が冷静でいられますかっ! って話だ。「浸透と拡散」ってのは誰もが手軽に作品に導入できるジャンクとしてSFが手近になるということじゃなくて、洗練されたツールとして使われることをただじっと待つってことだったんだね。まぁ、SF云々については日陰なSF者の単純な快哉ですが、物語を語ること、絵を動かすこと、人物に喋らせること、人物を喋らせずに語ること、絵で語ること、そういう諸々ひっくるめて『電脳コイル』は最高なわけです。


ところで。

基本的にネッターの方々の意見は頭に草履を乗っけて聞く私ですが、「アニメなんか一回見ればおしまい」という意見にはビックリしました。普段から使い捨てジャンクばっかり消費してるからそんなすさんだ心をお持ちなのでしょう。だからこそ「求めよ、さらば与えられん」ってのは残酷だよなぁと思ったり思わなかったり。