Underworld;『Oblivion with Bells』

ゴメン。僕が悪かった。これはすごい。

僕の好きだったUnderworldは、Darren Emersonの良くも悪くもヘンテコなセンスによるものだったのでした。Fatboy Slim"Bird of Prey"のリミックスなんかを聴くとすげー顕著だけど、型どおりでも型破りでもない、そこにそのタイミングではありえないのにかっちりハマってる音があっちゃこっちゃに飛び跳ねるセンスに萌え萌えでした。あと、時々見せる時代錯誤も甚だしいど真ん中のストライクとか、ど真ん中ストライクからのありえない転調とかね。そういう確信犯的な茶目っ気が僕にとってのUnderworldでした。

そういう人間がDarren Emersonのいない『A Hundred Days Off』を聴くと、「Underworld、必 死 だ な」とか思っちゃうわけ。昔のいろんなものを引きずりながらこれからの方向性の模索に困った作品だとばかり思っていた(とはいえ、それに関しては一概に僕のせいだけじゃあないですよ。"Born Slippy 2003"なんていう扱いに困る曲を作ったのは本人たちなんだからさ)。でも、そうじゃなかったみたい。ソフトランディングのための準備が必要だったんだね。

今回の『Oblivion with Bells』も確かに、良くも悪くもヘンテコなセンスによる、そこにそのタイミングではありえない音で構成されたアルバムです。でもそこにはDarren Emersonのイタズラめいたものはなくて、代わりにジャンルに対する可塑性を手に入れていたのでした。かつてMouse on Marsが『Radical Connector』っていう暴力的な手段でけしかけて微妙な結果に終わったジャンル間の越境を、こういう柔らかい方法で実行しているってのが、やっぱりUnderworldの底力だったらしく。まぁ、そりゃ昔からジャンルがよくわからん連中ではあったけどさ。

そんなわけで、ベタ褒めでした。