10ドルだって大金だ(2006.10.12)

これ

J文学の壮大すぎる空振りを乗り越えて急速に話題の中心になりつつある河出書房新社(実は昔からいい本を文庫で提供してくれている素晴らしい出版社なのですよ?)の新レーベル<KAWADE MYSTERY>の口火を切るは、『クライムマシン』のジャック・リッチーでした。いやぁ良かった良かった。なにがって、ほら、いろいろあるじゃない。

妻殺しを計画する男を待つ皮肉な展開がドライなユーモアで綴られるってのは「あぁ、あのリッチーね」な感じですが(無論期待しているから安心しているのです)、警部補が無邪気(?)な子供たちに翻弄される「毒薬で遊ぼう」ってやつが妙にゾクゾクします。きっとホントに無邪気なんですよ。その無邪気さがものすごい勢いの無邪気さで、そのさまを想像するだけで鳥肌が立ちます。

そういえば藤原編集室のサイトを見ているとアンナ・カヴァン『氷』って書かれてるんですけど、うわ、すげっ。