余談。

ゼーバルト『空襲と文学』のうち、表題作を読み終えた。昨日出勤時の地下鉄で読み始めて今日帰宅時の地下鉄で読み終えたから実質1時間か。なんと罰当たりなことか。例の、すべてのものに対してある程度の距離を取りながらひたすら改行なしで「そこに見えるもの」を淡々と語るスタイルはそのまま。読んでいる最中ずっと「いま見えようとしているもの」に対してフォーカスをあわせることに苦心したりする(でも、せっかくあわせたピントも時々挿入される写真によって「いやいや、近寄りすぎ/遠すぎだから。適切な距離ってのを考えろよ」とか突っ込まれたりする)。そのテーマが爆撃と火災旋風で形を失った人間(だったもの)であったりしてもピント合わせはしなくちゃいけないので、朝読むのは結構ツラいことだったりする。「ドイツ空爆ユダヤの陰謀だった」なるお手紙を紹介する下りでは思わず「え〜」って思ったけど(ゼーバルトさん、かなりイラッときたのかな?)。

地下鉄の中で読むには重たいので明日は軽いものを持って行こう。なにがいいかな。放置中の『閉店時間』かな。