余談ですが。

諸事情あって『ダロウェイ夫人』が読みたくなりました。以前「新訳だしー」と思い購入したまま放置状態だった丹治愛訳の集英社文庫版の最初の一文を読んで、求めているものがなかったのでしょんぼりしました。

ミセス・ダロウェイは、お花は私が買ってくるわ、と言った。
(集英社文庫・丹治愛訳)

原文は

Mrs. Dalloway said she would buy the flowers herself.

鍵括弧はついてない。その後に続く"Rumpelmayer's men were coming."が「ランプルメイヤー菓子店からは配達が来ることになっている」となってるのも好みじゃないな。サザエさんだって「三河屋酒店の三郎が配達に来ることになっている」だなんて言わないでしょーに。

とはいえ。そうなると今度は丹治愛訳がどういう効能をもっているかが気になるわけです。これは、あれか。ほかの翻訳も買ってきて並べてみると面白いかもしれない。ヴァージニア・ウルフの訳文比較って、楽しそうじゃあないですか。