クリストファー・ノーラン『プレステージ』
だから言ったじゃないか。クリストファー・ノーランじゃ無理だって。
『奇術師』からネタだけ持ってきてもうまくいくわけないじゃん。プリーストがすごい理由は、いままで散々使い回されてきた手垢のついたものをいままで誰も見たことがない調理法で捌くところなわけで、その調理法ってのはプロットに依拠する部分が大きいから分離不可能なのですよ。それを無理やり引っ剥がしてメメント的処理をしたものだから観るに耐えない。結局、この映画におけるプリーストの功績は「テスラを連れてきたこと」の一点のみになっちゃってる。
ひどいのは、この映画、アイ・ロボットほど原作を無視していないところ。観終わった後、僕は自分がプリースト大好き人間であることをちょっぴり疑ってしまいましたよ。
「映画と原作はそもそも別物。両者を比較すること自体間違っている」ってのは重々承知しています。じゃあ、原作と映画を別物としてみたとき、この映画の優れているところってなに? 結末? 伏線? いま21世紀だよ?
なんにせよ、この映画のおかげで『奇術師』が一般的にどう見られているか、よぉ〜くわかった。ここは恥ずかしげもなく中二病的発言をするけど、俺はお前とは違うから一緒にしないでくれ。
追記:
そういえば、観客が僕を含めて5人しかいなかった。しかもラストのトム・ヨークまで堪えたのは僕一人。ほかの人間はさっさと逃げ出してしまいました。
「田舎だからなぁ。人少ないのは当たり前だよな」と思ってたら、その次のパイレーツ・オブ・カリビアンでは大行列。くそっ、絶対そっちのほうが面白いに決まってるじゃないかっ!
あぁ、いっそのことゾディアックとシューターの梯子しとけばよかった。